<シアンと赤>における反転

最後の謎である反転について。以下、大雑把な推論(考えたまま書いたからかなり読みずらいが)。

・シアンはRGB(0:255:255)なので、赤の正反対色

・反転だとするならばバンド名を付けた時点で、シアンと赤のRGB値を知っていたと考えるのが妥当

・デビュー作の『透明なのか黒なのか』、『ランドリーで漂白を』はどちらも彩度がない色である。

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「透明」の記事を読めば分かる通り、津野は色や光の構造にそれなりに知識があったはずであり、それを細かく駆使しているのも確かであろう。この時点で「彩度」とかRGB値も知っていたのではないか。ちなみに白はRGB(255:255:255)、黒はRGB(0:0:0)。

また黒白盤において色が出てくるのは「塊」における“真っ黒な目”のみである。これもおそらく縛りをかけていると思われる。

何が言いたいかというと、デビュー作である黒白盤を見るに色を相当意識しているのだから、バンド名をつけるときにRGBにおいてシアンから赤を導き出したとしても不思議ではない、ということである。

・「mat blue」と「シアン」の二色で、パークのネオンと塗られた色を区別しているように見えるが、「mat blue」にしろ「シアン」にしろ珍しい色なわけで、ある程度意図的につけたと思われる。

深い意味がないのなら群青と水色でいいはずだし、青以外では細かい色が出てくることはない。赤色も青色と同様に大量の赤色があるはずだが、そのような区別は見られない。

ゆえに“宙に舞うネオン”=パークのネオンの青色にシアン色をわざわざ選んだのには何かしらの必然性があったと見るべきであり、それが赤の正反対色ならば、反転の論理も十分ありうるとすべきである

・「pray」において“ちょっと黒いくらいの青”と“まるで嘘みたいな青”と区別しているが、mat blueは前者、シアンは後者に合致する。青には何かしら想いが込められているように見える

・<公園>の語は『ブレーメンとあるく』の「公園」と『THE PARK』の「夜の公園」のみ。津野は言葉をけっこう細かく使うし、バンド名が赤い“公園”なのだから注目すべきだろう。

前者はヘリコプターの音があるため、おそらく立川飛行場(ランドリーがあったのはここの西側)。

後者は「夜のパークですよ」とヒントを出しているようにも見える。シアン色のネオンは夜しか輝かない。“語り出したブルー”ともある。ジャケ写にしても<夜の公園>だし、アー写も<夜のランドリー>である。そもそもランドリーは<漂白>してくれる場所なので、白い光が輝く場所であるはずだ。それは『純情ランドセル』のジャケットからも分かる。

・この<夜>が気になる。赤い公園の<赤>はシアンから導き出されるのであれば、そもそも必然性があるのはシアンのほうであり、シアンが輝くのは夜だけである。「もう一度はじめようぼくらの夜」が鍵なのか?

赤い公園なのにセルフタイトルが『RED PARK』ではない。それに最初からその案はなかったと津野が言っている。『THE PARK』を本名と言っている。ジャケットはシアン色と黄色である。これは普通に考えてかなりおかしい。<赤>が本名ではない、と言っているように見えるからだ(というか「芸名」とインタビューで言っている)。『RED PARK』とセルフタイトルしない何かしらの理由があるととるべきである。

・「石」において“見上げた二重のネオン”とあるが、<シアンとマットブルー>で“二重”でも意味は通るが、マットブルーはネオンではない。ゆえに<シアンと反転した赤>の“二重”でとるのが妥当とも言える。

・そもそも津野は尋常じゃなく細かい。「yes,lonely girl」のゲートを開ける音はまだしも、“ガタンガタン”というコーラスで引き込み線を表したり、<transp>で立川飛行場を表したりする。ランドリーの向こうの海にしても、そこには現実に残堀川の調整池がある(これを意識したかは分からないが)。ゆえに一番重要なバンド名である、赤い公園の<赤>も細かい論理が隠されていると思うべきである。ホテルパークが由来であることはラジオから確定している。

 

興味ある人は考えてみてください。